午前十時の映画祭に通いつめてみる。

古い映画を週替わりで楽しめる、『午前十時の映画祭』のこと。
…ガチで通いつめようと思っているので、まめに感想なども書いていこうかと。

まぁ、ある種「名画座」的な企画なんだと思うんだけど、
なにせ50本をシリーズでやってくれるところが気に入りました。
「古い映画をいろいろ見たい!」という人にはめったにないチャンスかと。
それに、会場がシネコンの割に、一般1k/学生500と割安なのもオヌヌメ。

…さて、以下感想をば。

ジャンクなのでひとつの記事で追記してきます。
…まぁ、ジャンクというのは、素人の書いたチラシの裏という意味で。
私は映画の撮影技法には詳しくないし、かといって物語論の専門家でもないので。
(キネマ旬報社からプログラムも出てるから、解説はぜひそちらを!)

「午前十時の映画祭」プログラム (キネ旬ムック)
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こちらでは思ったことをだらだらと書くことにしよう(ネタバレなので畳みます)。
赤/青、できれば両方見たいんだけど、多分時間の都合で赤ばっかになる気がする。

ショーシャンクの空に

赤1本目、2月25日@上大岡。最高。

妻殺しの容疑で終身刑になった銀行員についての、刑務所仲間の回想。
特に「にわか映画好き」から猛烈に支持され続ける作品らしい。
(自分もそうで、去年立て続けにDVD借りてた時期がありましたが…)

映画館で見ると、やっぱりテレビと違って断然イイネ!
望遠?広角レンズ?そういうので遠くから撮っていて、
ピントを狭い範囲(人物)に合わせているんだと思うんですが、
これがスクリーンに映した方がより印象的でした。

フォロー・ミー

赤2本目、2月25日@みゆき座。面白かった。
妻の日中の行動を探偵に探らせたことから始まる、ある夫婦の物語。
「感動」を狙って作ってるわけじゃないから、凄く印象に残る感じではないけど
観てると自然に引き込まれるし、後味の爽やかな作品。

なんか、こういうウィットやユーモアに富んだラブロマンスって
60年代とか70年代ならでは、って感じがします。
…まぁ、あまりいろんな作品みてるわけじゃないんで、思い込みですが。
でもこういう作品は今のハリウッドには作れないでしょう。

フィールド・オブ・ドリームス

赤3本目、3月4日@上大岡。心動かされました。
ある男が、夢に…というか「過去に遺してきた心残り」に、けじめをつける物語。
アメリカ中西部の農村風景が綺麗。

登場人物に逡巡や葛藤がないというか、話が非現実的なのに「あっさり」していて
「そんな簡単に話が進んじゃうんだ!?」みたいな感じもしたけど…
(なんか、ギリシャ劇でいう「デウス・エクス・マキーナー」的な…ご都合主義?)
でも一度納得してしまえば、様々な行き方や人間模様が見えて面白かった。

アパートの鍵貸します

赤4本目、3月4日@みゆき座。これはちょっとイライラ。
タイトル通り、自分のアパートを上司に使い放題される男の物語。
予告編を見た段階で「あ…これは自分に合わないかも」と感じはしたんだけど。

序盤はドタドタしたスラップスティックで、まぁ嫌いではないんだけれど
後半は「上司に利用され続けるウブな男」と
「愛人を引きずり続ける女」のラブロマンス(なのか?)が延々と…

ローマの休日

赤5本目、3月10日@みゆき座。スバラシイ。
古さを感じない!無駄がない!飽きない!面白い!
…50年経っても、観客(←若者モデスヨ!)がオチで笑えるのが、凄い。

老若男女問わず、今までの回で一番観客が多かったね。
どんな動乱が起ころうとも、この先50年、100年と残ってしまう名作。

スティング

赤6本目、4月21日@みゆき座。面白い。
大物マフィアのボスを罠にかける詐欺師たちの物語。

なんだろう、凄く面白いってわけでもないんだけど
何度でも見たくなってしまう、不思議な感じのした映画。
巧みなストーリーももちろんだけど、セクションごとの古めかしいイラストや、
ラグタイムで統一された、総体としての「世界観」的なものの魅力かなぁ…
なんというか、凄くオシャレで、華麗な作品だった。

エデンの東

赤7本目、5月19日@みゆき座。なかなか、悪くない。
西部の小さな農村を舞台にした、ちょっと変わった弟と、父と勤勉な兄との葛藤。

旧約聖書をタネ本にしてるあたり、ホント向こうの人って聖書好きなんだなーと。
お話が、途中まであっちいったりこっちいったりしてるというか、
冗長な感じで、やっぱり一昔前の映画って感じかなーと思って観てしまったのだけど
最後が、若干アンハッピーながらも静かに終息していくのが見事でした。

スタンド・バイ・ミー

赤8本目、5月26日@みゆき座。好きな映画。
DVDレンタルして観たばっかりだった上に
プリントの画質もアレだったのは微妙だったけど、
でも何度観てもいい作品だと思う。

4人の子供たちの演技がナチュラルすぎて凄いと思う。
観るたびに自然と、12歳の頃の「トモダチ」の不思議な世界に捉えられる。
あと、他の作品でもいつも思うのだけれど、オレゴンの風景が綺麗。
ちょっと古ぼけたフィルムのせいで、余計に色あせた、古く懐かしい気分がする。

フレンチ・コネクション

青1本目、5月26日@MOVIXさいたま。普通に面白い…ちょっと長いけど。

余計な説明なしに、淡々と話が進む刑事ドラマ。
勧善懲悪という感じではなく、死人が出るときは出るし、悪人も逃げきるヤツは逃げきる。
アクションシーンも凄いけど、そこに至るまでの淡々とした業務の描写が地味でいい。
あと、音楽が古典的なようで斬新なようで、素晴らしいように思いました。

…ちなみに、ここにきていきなりの「青の50本」シリーズだけど、
なぜかこの作品だけは夕方も上映してたから観られたという、ただそれだけの理由。

カサブランカ

赤9本目、6月2日@みゆき座。よかった。
第二次世界大戦、亡命する人々の行き交うカサブランカ。
運命のいたずらによって再開してしまう、男と女の物語。

…ぶっちゃけ前に観たことあるわけだけど、それでも観たいと思えるんだから
多分、それはいい映画ということなんでしょう…少なくとも、安心して見られる。
男女の描写や、あと、ナチスへの人々の感情描写がどうしても古典的だけど
なんだか最後は、なんとか丸く収まるようで。

第三の男

赤10本目、6月10日@みゆき座。イイデスネ!
第二次大戦後のウィーンを訪れた作家が巻き込まれる、
ある友人の事故とその真相を巡るサスペンス。

高校生の頃に観て、すげーと思った記憶がある。
『スティング』のように、有名なツィターの旋律と、独特のカメラアングルで
ひとつの新たな世界を提示してしまうのが凄い…
飄々と進むサスペンス(フィルム・ノワールってジャンルだそうです…かね?)でありながら
おざなりに投げ込まれたのではない、キチンとしたウィットに笑えるのが素敵。

十二人の怒れる男

赤11本目、6月16日@みゆき座。エンタメというよりは興味深い映画。
とある殺人事件容疑者の裁判での、陪審員たちの論争。

確か、最近では裁判員裁判が始まるときに、ちょっと流行った映画だよね。
最初と最後の数シーンを除いて、ずっと審議室での陪審員の会話を聞かされる。
人々の描写もベタベタのベタだけど、でもそのおかげで
人がどんだけいい加減か、どれだけバイアスに捉えられてるかがよく分かる。
当たり前の「事実」だったものが、次々と覆されていくのは驚くし、とても興味深い。

激突!

赤12本目、6月23日@みゆき座。まぁまぁ。
平凡なドライバーが、あるトラックを追い越したことから始まる
あまりにも不条理なカーチェイスの話。

昔見たときは、お金が無くてもこんな映画が作れるのか!みたいな感じで
スピルバーグの凄さに舌を巻いたような気がしたんだけど
それだけシンプルな話のせいか、後半のシーンがちょっと冗長に感じたせいか、
後半眠くなってしまったので、ちょっと(自分に)残念な気分。
…一度見れば必要十分ということなんだろうか。

羊たちの沈黙

赤13本目、6月30日@みゆき座。とても面白い。
若きFBI研修生が、冷酷かつ天才的な猟奇犯のレクター教授の力を借りて
連続殺人犯の逮捕に奔走する。

天才的頭脳の力を借りて、女性捜査員が犯人を追うところは
『ボーン・コレクター』に似てるけど、シチュエーションが全く逆の方向。
常識が通じない、非日常的な緊張が面白い。
ちょっと長く感じましたが、全体が2つくらいに分かれてて
「クライマックスが終わったな」と思っても、パッと新たな転換があるので
飽きることはない、納得の作品。

薔薇の名前

赤14本目、7月8日@みゆき座。微妙。
舞台は中世。隔絶された地にある修道院を訪れた修道士とその弟子が、
そこで次々と起こる謎の連続事件の真犯人を追う。

予告を見て、凄い面白そうと期待した作品なんだけど、ちょっと期待外れ。
個人的には「頭のいい人」が書いた話だな、という印象で、できすぎた話に思えてしまった。
(例えば、主人公はホームズをベースにしたキャラなんだけど
内面がからっぽというか、あまりにもベタベタに「ホームズ」)
編みあげられた引用と参照による、重厚なテキストが好きな人は面白いと思いますが
…ぶっちゃけ、ショーン・コネリーじゃなかったら、ここまで評価されないだろ。

ミクロの決死圏

赤15本目、7月22日@みゆき座。まあまあ。
外部からアプローチできない手術のために、
ミクロ化の技術を使って、医療チームが体内に入り、決死の冒険を繰り広げる。

タイトル勝ちの作品。原題は”Fantastic Voyage”、よく訳したものだと思う。
内容は小さい頃に見て、すごく面白かった記憶があるんだけど
改めて見ると、プロットもセットも全体的にかなり雑。
(ていうか話飛び過ぎ、スモールライトで小さくなって体内に入るとか…)
しかも繋がってないところをすり抜けてばっかりだし。
…でも、当時としてはとても斬新な映画だったのは事実かな。

キャリー

青2本目、9月11日@MOVIXさいたま。とてもいいホラー映画(笑)

猟奇的なまでに信心深い母に育てられたキャリー。
そのために周囲からからかわれ、いじめられていた彼女だが
高校卒業記念のプロム・パーティーで遂に限界を超えたとき
彼女の憎しみが復讐となって、皆に襲いかかる。

スティーブン・キング作品の最初の映画化らしいのだけど
独特の不条理さや、キリスト教を背景にしたオカルト性が
とてもよく伝わってきて、非常にいい映画だったと思う。
飛び上がるほどコワイのは最後の一瞬だけで(本当に飛び上がった…恥)
そこまではハイスクールの日常が淡々と描かれるのだけど
人々の人物像がとても引き立っていて、生々しく雰囲気が伝わる。
…どーでもいいけど、ヌードシーンがあるので15禁(笑)

追憶

赤16本目、11月24日@みゆき座。甘酸っぱく、切ないロマンス。
性格は全く違うにもかかわらず、なぜか魅かれあうケイティーとハベル。
キャンパスでの若かりし日から、壮年のある日の邂逅までの2人の記録。

母が好きな映画の一本。私も、こういう切ない映画は好きだ。
ただ、ちょっとアメリカン・ドリームや「古き良き日々」に溺れ過ぎだし、
少しふたりの描写が純朴というか、生真面目すぎるところが苦手かもしれない。
そういう点では『いつも二人で』のような、
ウィットに富んだ、笑いもある作品が好き。
…こっちのほうが、「いま」を扱っているし、ラストも前向きだし。

レベッカ

青3本目、12月17日@六本木ヒルズ。なかなか。

妻を失った名家の主と恋に落ち,結婚したある女性.
彼女は,慣れない上流階級の世界や,夫のひきずる影を除けないことに苦しみながら,
あまりにも完璧だった前妻のことについて知るうちに,驚くべき事実を知る.

ヒッチコックはかなり「映画」に意識的だった人だと,映画論の授業で習って
一時期,DVDを借りて積極的に観ていたことがあったのだけど,
『レベッカ』は代表作でありながら,実はまだ観ていなかった.
撮影技法は,ちょっと私にはよく分からないんだけど,
少なくとも脚本やキャラクター設定は面白い.
なんだか,ロマンスがサスペンスになり,謎解きの探偵ものになりと,
短編映画の連続のような作品で,観ていて飽きない.

  • ̃Gg[͂ĂȃubN}[Nɒlj

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