研究を振り返る

2時からキッチンで教授を交えてディスカッション、ということでドギマギしつつ部屋に向かったら…ティーパーティのセッティングがされていた。私のお別れ会ということで、サプライズだったらしい。嬉しいけれど…なんか気持ちの晴れない日が続いているせいもあって、あまり盛り上がれなかった。申し訳ない。

でも、もうすぐ研究室生活も終わりなんだと思うと、少し寂しい気分になる。まだ何日か残っているけれど、ここらでイギリスのラボで4ヶ月間過ごした感想をまとめてみようと思う。

所属していたのは、筋骨格系の研究室が数年前に1フロアにまとめられたという、比較的新しい研究室。事務員もセミナーも共有しているけれど、研究自体はいくつかの研究グループに分かれてやっていて、互いの研究テーマがゆる〜くつながっているような感じ。扱っているテーマは関節のモデリングだったり骨の微細構造だったりと、まぁいろいろあって、その中で私のリサーチチームはスポーツとリハビリのバイオメカニクスがテーマだった。

いろんなバックグラウンドの人がいたけれど、もともと理学療法士から出発している人が多かったかな。より外科的なテーマのグループには医師も多かった。病院に隣接していて、病棟勤務と掛け持ちで研究をしている人なんかもいて、だから結構みんなモチベーションが高い。日本に比べたら短いかもしれないけれど、それでも9時6時で働いているのはイギリスでは真面目なほうだ(そしてそこに11時頃のんびり現れる私…行きづらい!生きづらい!!)

いろんな国から、いろんな人が来ては去っていった。例えば、お昼ご飯をいつも一緒に食べていたポスドクの人は、ギリシャ出身のプログラマーだった(データ処理や3D画像構築にプログラマーの力が不可欠なのです)。隣の研究室の、うんちく豊富な講師の先生は自然史博物館で研究員をやっていた方。他には、アメリカでフィギュア選手(!)だった院生や、私の先輩のように勤務の合間にパートタイムで院生をやっている人とか…ほんといろいろ。出身地も、イギリス含めたヨーロッパ諸国はもちろん、北米やシンガポール、そして中国からと様々。こっちの学生にとっては“海外に進学する”というのがごく普通の選択肢だという(つまり「留学」という概念がない)ことは、凄く新鮮な発見だった。

そんなわけで、いろんな人といろんな話ができる環境だったのだけど…残念なのはそれを十分活かせなかったこと。やっぱり、言葉の壁が大きかったね…アカデミックな話ならまだ大丈夫なんだけれど、ネイティブの日常会話になるとついていくのも大変。あと、どうしてもスポーツをメインに扱っている研究室ということで、みんなスポーツ好きなわけで、そんな話の中にスポーツ嫌いの私が飛び込んで話をするってのがなかなか厳しかったというところも。

そんなわけで、教授はおろか、指導してくれるポスドクの方ともコミュニケーション不足になってしまった。結果として無用の不信や猜疑心が生まれ、狡猾な策略や意味不明な欺瞞を引き起こし、ちょっと関係がぎくしゃくしてしまった(冒頭で「気持ちが晴れない」って書いたのはこのため)。そこはちょっと、お互いにとって不幸なことだったね。ダメだね…もっと外国語を実践的に学ぶべきなのはもちろん、自分を積極的に表現していくスキルも身につける必要があるんだと思う。ダンススクールを見学したときに、これは私に限らず、日本人の多くが抱えている問題なんだと思った。じゃあ、具体的にどうしたら?って言われると正直分からんのだけど…これは日本人への宿題っていうことになるのかな。

でも、それを差し引いても、今回の研究生活は充実していた。なにより、人生で初めて研究内容に面白さを感じ、やりがいを見出せたことはとてもいい経験だったと思う。こんなクズ人間でも、適切なテーマに出会って、刺激的な環境にさえ曝されれば、なんとかやっていけるんだなぁと。そうやって自己肯定感を得られたという意味でも、まぁ多かれ少なかれ「留学」したメリットというのはあったのだろう。

水木金月…残り4日間。少しでも学生の本分を果たせるように、少しでも研究室に貢献できるように、精一杯やっていこう。

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