病院訪問02: 私立病院(南関東)

有名私立病院の現地説明会を拝聴してきた。

友人の言葉を借りて一言でいうなら「大学病院みたい」(というか、実際に医療系大学を作って学校法人化する様子)。規模が大きく、内科系重視で、敢えて大学病院ではなくこちらを選択する動機に乏しい。また(病院設計は素晴らしいのだけれど)個室中心でちょっとオシャレなところも、個人的なポリシーにあまりそぐわなかった。

経営者のお話を聞いていると(一部、気になった発言もあるのだけれど)将来に対する射程の長さ、展望の広さには感銘を受けた。が、それは研修医と直接的には関係のない点であり、その他のスタッフ、特に研修医との話を聞いていると、なんかぼんやりしているというか、今ひとつ意志や展望がはっきりしていないところに不安を抱いた。

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病院訪問01: 大学附属病院(四国)

四国の大学病院に行ってきた。知人の実家に遊びに行ったのがきっかけで、古い日本の文化が息づいている風光明媚なこの土地に惹かれたというのが理由。どうせ住むならアカデミックと三次救急のあるところで研修したい、とここを選んだ。

みんな凄く親切にしてくれるけど「なんでここ来たん?」って毎回訊かれるのに食傷気味。また、凄く素敵な先生がいらしたのだけど、その先生に「東京で働いたほうがいいんじゃない?」と小一時間諭された。その他の先生もちょいちょい何か仄めかしてくるところがあって、んー。あと、少しでも教育に関われたらと思って大学病院を選んだのだけど、臨床実習生はほとんど病棟にいないのでガッカリした。

山海の幸はおいしいけどなー

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病歴という名のストーリー

入院時の病歴要約(サマリー)をつくるとき、先生によって意向が違いすぎて困る。「きれい」な病歴を好む先生がいる一方で、別の先生には「ありのままに書け!」って言われたりして、学生としてはどうしたらいいのか分からない。

サマリーというのは本来(症例発表なんかで)患者さんの病態を分かりやすく他人に伝えるための形式だ。けれど実際に一番よく使うのは、「上」の先生方に自分の担当患者について説明するなんて場合だったりする。そうすると、例えば患者さんが「胸が締め付けられるような感じ」(=狭心症とか心筋梗塞っぽい)を訴えているのに、どこまで検査しても見つかったのは心房細動だけだった…とかなると「どうなってるんだ!!」と怒られる。そうなると嫌だから、「胸が痛い!」を「気分不快感」と書いてみる。全ての症状・検査結果が、あるひとつの病気に美しく収束していく「物語り」を書く。さすがに検査結果や症状を捏造するなんてことはないけど、それでも患者さんの訴えを言い換えたり、都合の悪い所見はあえて書かなかったりということは、ある。

個人的にはどうでもいいと思うんだよ、治りさえするのならば。上に行けば行くほどポストが少なく、常に能力を試されている先生たち(たいてい若手の医局員)の「穏便に済ませたい」という気持ち、さすがに下っ端の私にだって痛いくらい分かるし、できれば恩師の評価を損なうようなことはしたくないもの。でも、人間である前に科学者でありたい私としては、できれば事実を裏切らないかたちで、なおかつ穏便なサマリーを作りたい。

昨日、教授に相談していて、ひとつの解決策を教えてもらった。たとえば、明らかに足の血行がよさそうなのに、足背動脈を触知しない人がいたとする。正常でも3~4割は触れないと言われている足背動脈だけど、病歴上の「足背動脈触知せず」イコール「下肢の閉塞性動脈硬化症」みたいなところがあって、カンファレンスにそのまま持ち込むと爆発炎上は避けられない(だから、カンファレンスはどれもこれも「足背動脈触知」の症例ばかりになる)。でも、そういうときは後脛骨動脈の所見も書けばいいじゃないかと(普通は、足背動脈と後脛骨動脈のどっちかは触れる)。見た所見を改竄したり(「足背動脈触知」)、見なかったことにする(何も書かない)よりは、さらに事実を書き足したほう(「足背動脈触知せず,後脛骨動脈は触知」)がはるかにマトモだし、正当だ。

上の例で言えば、例えば「心臓のあたりが痛かったんですか?」なり「どんな痛みでしたか?」なり訊いて、もし「動悸がして心臓が痛くなって…」ということだったら、それは「胸痛」や「胸部絞扼感」ではなく「動悸」ととっても妥当だろう。矛盾があるように見えるのは、多くの場合は問診なり身体診察なり、こちらの手落ちが多いのかもしれない。

…問題はそれでも矛盾が解決しない場合なんだよなぁ。さらにややこしいのは、「上」の先生がカルテに「動悸」と書いてる心房細動の患者さんが、いくら訊いても「いえ、動悸はなかったです、胸にキューっと締め付けられる痛みがありました」なんて場合。「動脈触れたよねー」って言われた患者さんなのに、直後に自分がやったら触れないわ、血圧計ったら明らかに低くて動脈硬化としか思えないような場合。事実を書けばカンファでは爆発炎上、先生からは反抗的な奴…と目をつけられる。かといって、先生に盲従したらトンチンカンな治療をすることになるかもしれない。うー、どうしたものか…

学生のうちは権限もないし、最終的には先生の責任だから言われた通りにすべきかと考えているけど、自分が医者になったらどうしよう。たとえ飛ばされようとも、あるがままの現実に忠実でいたい…と今は思ってても、5年後、10年後の自分がそんな綺麗事を言っていられるのだろうか。

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Podcast: NewsPod

BBCのNewsPodをしばらく聴いていたんだけど、3月末にいきなり「今月いっぱいで終了です!」って言われて、エー!みたいな。

かなり前からGlobalNewsに誘導したがっている節があり(NewsPodの真ん中で「こっちもよろしく!」的な番宣が入る)、おとなしくそちらに移行したものの、なんか合わない。個人的にはイギリス国内のニュースも聞きたいので、そこが減っちゃったのは残念だし、なんか海外ニュースの味気ない羅列で面白くない。なによりも、NewsPodと同じ長さで1日2回更新(=合わせると1時間強)っていうのが…もちろん消化できるわけがなく、溜まる一方。さっき、BBC World Update: Daily CommuteってNewsPodと同じ長さくらいのを見つけたので、そちらに変えようか検討中。

日本ではなく、アメリカでもない、第三国の姿を知りたくて聴き始めたのが、なかなか面白くて続いていただけに残念だなぁ。もっと英国内外のニュースを綺麗にまとめたポッドキャスト、もう一度作ってくれないかなぁ。

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聴診器、後編。つまり結局はリットマン。

昨日のエントリに書いたような迷走の末、やっと聴診器を手に入れることができた。

臨床実習が始まるに当たって(聴診器を最も使いこなしていると思われる)心臓内科の先生にオススメを訊いてくれた子がいたんだけど、これといって推薦する機種もない模様。ベルと膜(ダイアフラム)を手動で切り替えられるものである限り、自分が使いやすいものなら「なんでもいい」ってさ。なんでもいい…って大丈夫か?という感じもするけれど、ようは聴診に対する意識も技術もないような奴がマスターカーディオロジー(リットマンではハイエンドに当たる機種)を買ったところで、素人が高級外車を買うようなもので「臨床的な意義はありません」ということだそうな。

しかし、一方で「てめぇら頭はダメなんだから、せめて音が頭に入るまでの部分はいいもん使え」という意見もあるわけで、結局、迷った末に買ったのはリットマンのカーディオロジー III。リットマンシリーズでは、これがベル・膜を使い分けられる上位製品になる。ウェルチアレンとか他にもブランドはあるようだけど、なんだかんだいって、日本の聴診器市場はリットマンの半独占状態みたいです。よくないね。

ちなみにクラスメートの多くは、共同購入でクラシックII S.E.を買ったっぽい(…が、今まで共同購入のトラブルにはさんざんうんざりさせられてきたので、私は乗らなかった。結局、後でパンフレット見たら、共同購入しても定価そのまんまだったし)

それにしてもタカセ医療器に注文したら、ネーム刻印ありでも翌々日に届いたから驚き。最初からこっちで頼んでおけばよかったな…

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